ペンギン・ハイウェイの話 その2

たまに書く記事が箇条書きではブロガーの風上にも置けないので、ペンギン・ハイウェイの感想についてちゃんとした文章で書こうと思います。前振りみたいな記事も書いてしまったし。これでどうにか風下の方にでも置いて頂ければ幸いデス。予告以上のネタバレは無しデス。

イントロダクション（公式サイトより引用）

小学四年生のアオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録している男の子。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、「きっと将来は偉い人間になるだろう」と自分でも思っている。そんなアオヤマ君にとって、何より興味深いのは、通っている歯科医院の“お姉さん”。気さくで胸が大きくて、自由奔放でどこかミス テリアス。アオヤマ君は、日々、お姉さんをめぐる研究も真面目に続けていた。

夏休みを翌月に控えたある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。街の人たちが騒然とする中、海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちは、いったいどこから来てどこへ行ったのか……。謎を解くべく【ペンギン・ハイウェイ】の研究をはじめたアオヤマ君は、お姉さんがふいに投げたコーラの缶がペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。

「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか？」

感想

まず個人的な期待と結果の話からすると、想像以上にしっかり映像化されていたのが嬉しかったです。と言うのも、お姉さん・海・ペンギン、３つの謎を同時進行で追いかけるお話で、更にどれもこれもフワフワとして筋が通らない謎ばかりなので、どうしても難しくなるだろうという想像をしていたんですね。加えて、小説から映画という器に移し替えるにあたって２時間弱に納めなくてはならないという尺の問題も避けては通れません。限られた時間で分かりやすく謎を解明していくという点においては、原作小説からの取捨選択がほぼ完ぺきと言っていいほど適切で、脚本を担当された上田誠さんには拍手喝采です。上田さんは「四畳半神話大系」、「夜は短し歩けよ乙女」など他の森見作品の映像化にも参加された方ですが、私個人としては「サマータイムマシン・ブルース」、「曲がれスプーン」の原作・脚本という印象が強いです。必要なシーンをテンポよく繋げていく手腕にも納得。

文章を読んで想像していたものが映像になるというのは、まぁクオリティさえ良ければ楽しいものです。そして、やはり今作ではペンギンの面白さが随一でした。「住宅街にアデリーペンギン」という画的な面白さもさることながら、アニメーションの面でもペンギンが絡むシーンは力の入れようが違います。予告にもある、コーラの缶がペンギンへと変貌する滑らかなアニメーション、たくさんのペンギンたちと共に街を滑るシーン等、新進気鋭のスタジオとは思えない素晴らしい出来でした。

最近の日本の劇場アニメはこれでもかと言うほど背景描写に力を入れることがありますが（新海誠症候群と言います、いま考えました）、本作はそういった作品群と比べると綺麗ながらも程よいラフさが残ります。CGを使った背景（主人公の部屋、教室、歯科医院の待合室、カフェなど）は微妙に画作りの擦り合わせが出来ていないように感じる所もありましたが、予算の規模や納期などの問題もありますし、落としどころとしては良い塩梅だったんじゃないでしょうか。背景以外にもCGはふんだんに使われていまして、この辺はメイキングのインタビューや講演会の記事がネットに落ちているので見てみると大変面白いです。

もう１つ不安に感じていたところの、芸能人を起用した声優陣は想像以上に上手く（蒼井優のお姉さんは賛否両論だそうですが、私は好きです）、１人だけがっつりアニメ声のウチヤマ君（CV:釘宮理恵）が若干浮いてしまうほど。ただ、これは映画館の問題なのかもしれませんが終始台詞が響いてシャープに聞こえない感じがあり、録音か音響に問題があったのかなーと思ってしまったのは残念でした。音楽は普通に聞こえたんですけどね。

音楽と言えば宇多田ヒカルの歌うED曲の柔らかい感じがぴったりで、とてもよかったと思います。


なんか鑑賞直後はもっと書こうと思っていたはずなんですけど、やっぱり観てすぐ書かないと忘れちゃってダメですね。そういえば私が見に行った地元の映画館は公開終了まで１週間も無く、あやうく例の二の舞となるところでした。あぶないあぶない。

余談

ニンテンドースイッチでMini Metroが出るからか、だいぶ前に書いた記事に僅かながらもアクセスがあって、ちょっと嬉しいですね。正直あのゲームをスイッチでやる必要は全然ないと思いますが（スマホでいいじゃん的な）、買い切りのスマホげーはなかなか厳しいと聞きますし、俄かにインディーが盛り上がっているスイッチに販路を延ばすのは良い判断なんだと思います。