すべてがFになるの話

レイジングループのプレイ時間が60時間を超えました。これでようやくエクストラコンテンツも半分ほど消化したことになるのでしょうか。1週目に見たところもざっと流し読みしているので、スキップで短くなった分と追加で増えている分がトントンになっているような気がします。正直ノベルゲームなんて10~15時間ぐらいだろうと思っていたので、5倍近くかかっていることになります。どう考えても時間かけすぎです。まぁ無駄に過ごしているというわけでは無いので、良いんですケド。

そんなゲームの合間を縫って、もはや古典に片足を突っ込んでいるであろう森博嗣のデビュー作、1996年のミステリー小説「すべてがFになる」を読んでおりました。ノベルゲームの合間に小説を読むという文章漬けの日々、これがリア充か。これも確かKindleセールで100円とかで買って、1年ほど寝かせていた本になります。デジタル積読ってやつですね。また何をいまさらという感想になるかもしれませんが、書かせてください。


孤島の研究所で起きた密室殺人事件を取り扱うというミステリーもの。読んでから知りましたが、2人の主人公たちが活躍するシリーズ物の1作目、今までに計10冊刊行されているらしいですね。Amazonの商品説明にはもっと詳細なあらすじが書いてありますが、何も知らないで読んだほうが楽しいかと思います。

驚くのは1996年に登場した小説であるにもかかわらず、小説に登場するテクノロジーやガジェット、それに付属する概念が今でも普通に通用するという点です。私としては、この手の話をするときに1989年の漫画作品 攻殻機動隊や、それが影響を受けたニューロマンサー辺りのSF小説群の先見性を避けては通れないかと思っていますが、それらはあくまでSF作品。理系ミステリーの元祖とも呼ばれる本作ですが、ミステリーという分野で現代に通ずる技術レベルを織り込むというのは確かに衝撃的だったのだろうと思います。反面、当時の読者が正しく理解できたのか、ちょっと疑問です。プログラム用語からロボット、AI、VRまで登場し、それらが現実となった今現在でも疎い人には若干難しい内容かもしれません。

テクノロジーへの先見性には驚きつつも、さて、一冊の小説として面白かったのかと考えると……ちょっと評価が難しいというのが本音です。密室殺人のトリックや伏線とタイトルの回収、それを暴く主人公たちの恐ろしくロジカルな考え方、登場人物の価値観など面白い部分はいくつもありました。が、解決されたと思えるものが殺人事件のトリック以外に見当たらないのは物語として(500ページの小説としても)ちょっと乾きすぎじゃないですか? 加えて登場人物が総じて変わり者で、共感できるキャラクターが皆無だったのも辛いところ。……もっともその辺りの問題点はシリーズを通して解決されていくのかもしれません。だとしても、500ページを乗り越えて結末へとたどり着いたのだから、もっともっと大きな、あるいは複数のカタルシスを感じたかったというのが正直な感想です。

本作単体で見た場合パズルとスリル以外に見どころの少ない割と平凡な小説だ、というのは言いすぎかもしれませんが、あながち間違いでも無いように思ってしまいます。それともミステリー小説にパズルとスリル以外を求めるほうが贅沢だったりするのでしょうか(笑)。


なんか読み終わった直後はかなり面白かった気がしてたんですケド。どこが良くてどこがダメだったのか、きちんと整理しておくのはやっぱり良いですね。


このままだとなんかアレなので、最後に映像化についての話をしておこうかと思います。

原作の出版から20年近く経った2014年にシリーズ全体のドラマ化、2015年に本作単体でのアニメ化がされているというのは、ようやく消費者の感覚が追い付いてきたということなのでしょう。ドラマ版の方は未読の作品のネタバレになってしまうので流石に見る気は起きませんが、アニメ版の方はちょっと興味があります。流石に20年も経ったうえでアニメとして再構成されているのであれば色々と描写も違ったものになりそうですし、単純にビジュアル面でどのように調理されているかというのも気になりますね。それでまた本作に対する見方も変わるかもしれません。ただ、今はまだ見る時間がありません……さっさとレイジングループを終わらせてしまわなければ(笑)。

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