「シン・ゴジラ」、私はこう読む の話

「シン・ゴジラ」、私はこう読む というタイトルの電子書籍についてのお話。

エヴァンゲリオンシリーズの庵野秀明監督が作り上げた新しいゴジラ像に日本中が熱狂し(そのすぐ後に、君の名は。に潰され)、映画に対する様々な考察・議論・論争を巻き起こしたのは2016年7月。私も映画館へ足を運び、邦画が残念なこのご時世にトンデモナイ映画を作ったもんだ!と何処から目線なのか分からない賞賛を送っておりました。

様々な方面で議論が巻き起こったのは、今まで邦画が避けてきた"社会を描く"という部分で真正面から勝負している、という点が大きく影響したと私は思います。なおかつエンターテイメント作品としても一級品というところが評価された。劇中に「この国はまだやれる」というセリフがありましたが、「邦画もまだやれる」と鑑賞後に思ったものです。

そんなシン・ゴジラを専門家はどう見たのか。


本書は日経ビジネスオンラインで当時連載されていたシン・ゴジラ評を集めたのものです。執筆者は各界のエキスパートがそろっており、一般人にはとても書けないような非常に、非っ常に濃い内容になってます。冒頭から元防衛大臣の石破茂、3.11の時の内閣官房長官 枝野幸男が登場し、作中での自衛隊の在り方や非常時対応について語っており、ここだけでも読む価値アリ!と言っても過言ではありません。

印象に残ったのは、コラムニストの小田嶋隆氏の「シン・ゴジラはおよそ多様な見方を許す映画で、この"簡単に要約できないディティールの豊富さ"こそが、この作品を特別な映画にしているのだと思う。」という部分。"ディティールの豊富さ"が世界/物語を広げるのであって、映画に関わらず創作物はすべからく細部にこだわるべきだと、私は常々思っていたので、スッと入ってきて納得する一文でした。

25万字、文庫になれば900ページ超という物量にまだ最後まで読み切れていないのですが、本書の持つ熱量にあてられて記事にしてしまいました。300円+税でこの内容が読めるというのは、電子書籍のみの発刊とはいえちょっとおかしいレベルですね。シン・ゴジラを見た人は必携。もう一度、映画を見たくなること請け合いです。


コメント

このブログの人気の投稿

エマノンシリーズの話

RDR2プレイヤーに贈るTDLの見どころ

シュガーラッシュ:オンラインの話(ディズニープリンセスの話)