マンガ大賞2018の話

面白いマンガはいねがー!と鬼のような形相で書店を駆けずり回ったところで、求めるようなマンガに出会う確率ってめちゃくちゃ低いと思うんですよ。単純に今年発行された単行本だけを見ても把握しきれない物量で、さらに最近は実体のないウェブ系コミックの隆盛なんかもありますし。その中から光るものを探し出すっていうのは、もうほとんどギャンブルみたいなもんです。ネットのレビューを参考にするとしても結局は個人の趣味嗜好ですからね。誰かが良いといったものが、私にとって良いものとは限らない。好みが自分と近いレビュワーに出会えればいいですけど、それはもう奇跡のようなお話です。

そこで参考にしたくなるのが賞レース。とは言っても出版社が主催しているようなものはダメですよ。あんなのは、自分の会社から出版されていて、かつ世間での評判が良いものにお墨付きを与えるための、いわば出来レース。受賞作品のラインナップを見てみてくださいよ。ちょっとマンガをかじった人なら聞いたことあるタイトルがほとんどで、今更そんなの勧められても……となること請け合いですから。

かと言って、選定員がよく分からない有象無象による賞レースもよろしくありません(名指しはしませんが、アレですよアレ)。選考対象を全部読んでいる人なんていませんし、マイナー作品はどう頑張っても有名で人気がある作品には敵いません。それこそ知らない作品が出てくるなんてことは本当に稀です。


その辺に名前が挙がる作品が面白いことなんて分かり切っているんです。
こちとら"面白くて、私が知らないマンガ"を教えてほしいんですよ。

そんな時、私が参考にするのは「全国書店員が選んだおすすめコミック」と「マンガ大賞」の2つ。両者ともに日頃からマンガに触れる書店員の方が選定の中心であり、選定の対象となる作品には「〇巻以下」という基準があるのでフレッシュな作品が出てきやすい。そして、私に刺さる作品が多い、ここ重要。一応出版業界が絡んでいないというのも信用出来るポイント……最近は注目度が高くて利害関係者が多そうですが、そこは自分にピッタリな作品をピックアップしてくれているうちは目をつむりましょう。

※全国書店員が選んだおすすめコミックの選定対象は5巻以下、マンガ大賞は8巻以下

さて、今年のマンガ大賞2018。ノミネートは以下の12本。
  • 映画大好きポンポさん(杉谷庄吾【人間プラモ】)
  • 映像研には手を出すな!(大童澄瞳)
  • ゴールデンゴールド(堀尾省太)
  • ダンジョン飯(九井諒子)
  • とんがり帽子のアトリエ(白浜鴎)
  • 凪のお暇(コナリミサト)
  • BEASTARS(板垣巴留)
  • 不滅のあなたへ(大今良時)
  • メイドインアビス(つくしあきひと)
  • 約束のネバーランド(白井カイウ・出水ぽすか)
  • ランウェイで笑って(猪ノ谷言葉)
  • 我らコンタクティ(森田るい)
私は読んでいる/読んだことがあるのは約半分、初耳なのが3作品といったところです。良いですね、これこそ賞レースをチェックする醍醐味というものですよ。タイトルと書影だけでも一般には受け入れられにくいものがチラホラと見えますが……どうなるでしょう。

個人的な推しは「BEASTARS」。本当に面白い。擬人化したケモノたちの学園モノで、草食獣と肉食獣の共存する歪な社会の描き方、その中で翻弄される学生たちのキャラクターが素晴らしい。少年誌のわりにダークなことをやっていて、連載当初から推してた1本。今年の頭に最初の単行本が出たので今年が初ノミネートですが、来年には8巻を超えて選定外となってしまうので是非大賞を取ってもらいたいですね。

が、しかし、3年連続でノミネートしている「ダンジョン飯」にも大賞をあげて卒業させてあげて欲しい。ダブル受賞というワケにはいきませんか(笑)。大賞が発表される3月が楽しみでなりません。


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